商社で仕入れから営業まで一括して行う部門に勤務していた頃のことです。

アジア圏では現地にいる時に踏み込んだ商談に発展することがありました。

そのために常に会社から商談を加速させるための百万円単位の現金を預かって出張していました。

アジア圏の中ではかなり治安のいいことで知られているシンガポールにいたこともあり、ひとりで行動していても気持ちの面ではかなりの安心感がありました。

そんな折りに街中の人通りの多い公園を通過しようとしていたところ、会社から電話がありしばらく集中して話し込んでしまいました。

電話が終わり足元を見ると、現金はもちろん、パスポートやキャッシュカードも入ったカバンがまるごとなくなっていて唖然としました。

確かに海外にいながら日本人が掛かってきた電話に集中していたのですからあまりにも無防備に見えたのでしょう。

それにしてもカバンの中に現金が数百万単位であったことにはさすがに犯人も驚いたことでしょう。

おかげで出張の予定は大幅に変更しなくてはなりませんでしたし、帰国後も会社に報告と始末書の準備が重なり、当初の海外出張の予定を大幅に変更させられることになりました。

しかしこのような失敗があった結果、海外ではより万全にしなくてはならないといういい経験になっています。