カミさんと二人で初めてイタリア旅行に出かけた時に、私自身が遭遇したチョット間抜けな出来事である。

ローマ市内観光２日目の自由時間を利用して、二人でトレビの泉からコロッセオ方面を散策していた時だったように記憶している。

街中を物見遊山していると、私どもの前方から現地の小さな男の子（小学低学年ぐらいの）が半ベソをかきながら走り寄ってきたのだ。

そのすぐ後を女の子（小学高学年ぐらいの）が、その男の子を叱るような仕草で近づいてきた。

見た感じ、私にはどうも二人が姉弟のように見えた。私はどうしたのかと、少しいぶかりながら二人に近寄ると、男の子が私の横（脇の下あたり）に回り込み、さも姉（？）から逃れるふうにした。

女の子は私に謝るような素振りを見せつつ、イタリア語で何かをしきりにしゃべり続けていた。

その言葉が私にはさっぱり分からず、つい意識がその娘に集中していた。

その時の私の身なりといえば、シャツの上から小さなポシェット袋を腰あたりに巻き付けていた。

刹那「あなた！ポシェット！！」と叫ぶカミさんの声に、すぐポシェットを抑え込んだ。

見るとそのファースナー口は全開状態。振り返るとくだんの子供たちはすでに通りの向こう側に逃げ去っていた。

一瞬の差で、被害はまぬかれることが出来た。

ポシェットの中には、現金・パスポート・カード等々が入っていたのだ。